地底人とりゅう

「地底人とりゅう」は田生 流(たお ながれ)の本紹介ブログです。書店では入手困難な古書も構わず投稿していきますが、読むことができたあかつきには、秘かにニンマリしていただけていたらこれ幸いです。更新は週1,2回ペース、なるべく3日置きにしていきます。(大型連休中は休載します)

ミステリー

『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』(ハヤカワ文庫):皆川博子

第12回本格ミステリ大賞を受賞した『開かせていただき光栄です』は、総毛立つほど面白い、まさに崇拝すべき一冊である。 さりげない伏線に何度でも騙されたい、あの時の、魂が震えるような昂ぶりをもう一度味わいたい、そんなマンネリ気味のミステリ好きに…

『散り椿』(角川文庫):葉室麟

椿は普通、首が落ちる様を思わせるとして武家に嫌われる花である。 散り椿は、花ごとぽとりと落ちるのではなく、花弁が一片(ひとひら)ずつ散っていく。 秀吉が寄進した五色八重散椿(ごしきやえつばき)の植えられた地蔵院の境内を舞台に、男と女の想いが…

『ぼんくら 上・下』(講談社文庫):宮部みゆき

『ぼんくら』とは、頭のぼんやりした怠け者のことである。 四十なかば、ぼんくらだけれど心根の優しい親父、井筒平四郎(いづつ へいしろう)は、続けざまに人が立ち退いていく町の様子に違和感を覚えていた。 事情があって新しく配属された佐吉という名の若…

『完全版 下山事件 最後の証言』(祥伝社文庫):柴田 哲孝

成らず者には二種類の人間がいる。 苦境を逃れようと、生きるために足掻いた結末として犯罪者となった者と、 金や権力、人望の全てをもっているにも関わらず、強欲のために自ら悪に染まる者だ。 どちらがより悪党かなんて、考えたことがあるだろうか? 下山…

『蜩ノ記』(祥伝社文庫):葉室麟

直木賞受賞後、映画化もされた名作『蜩ノ記(ひぐらしのき)』は、私が時代小説に初めて恋をした、思い入れの深い一冊である。 蜩ノ記 (祥伝社文庫) 作者:葉室 麟 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2013/11/08 メディア: 文庫 罪を犯し、命の期限を定められ…

『深い穴に落ちてしまった』(東京創元社) :イバン・レピラ

深さ7メートル、 すり鉢を逆さにしたような形の穴がある。 ある日兄弟は、到底出られそうもないその穴の底に落ちてしまう。 深い穴に落ちてしまった 作者:イバン・レピラ 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2017/01/21 メディア: 単行本 不思議な本と出…

『ボールルームにようこそ(10)』:竹内友  『北北西に雲と住け(4)』:入江亜紀

いつも小説の紹介ばかりしていますが、実は私、漫画も大好きなんです。 1月17日、長い休載から2年半ぶりに発売された『ボールルームにようこそ』の最新刊、もう最っっ高でした!!! ボールルームへようこそ(10) (月刊少年マガジンコミックス) 作者:…

『medium(メディウム) 霊媒探偵城塚翡翠』(講談社) :相沢沙呼

お久しぶりです、ながれです。 「このミステリーがすごい!」2020年版国内篇 第一位、 「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング 第一位、 「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリーの 三冠を見事獲得し、各メディアで今大注目さ…

『ゆめこ縮緬(角川文庫)』:皆川博子

皆川博子の物語に出てくる台詞は、いつも耳に心地よく、見ていて美しい。 活字が水面に浮かぶ落ち葉のように鉤括弧の外に揺れ動き、耳元でたしかに今、女の秘めやかな声が聞こえたような気がしてしまう。 ゆめこ縮緬 (角川文庫) 作者: 皆川博子 出版社/メー…

『黄色い雨(河出書房新社)』:フリオリャマサーレス

本を開けばいつも主人公がいて、その主人公の行動や決断によって読者にカタルシスが生まれる。ところがこの一冊の本の内容を説明するには、主人公であるべき男の行動や決断が、あまりにも欠乏しすぎていた。にも関わらず、これまでにないほど印象的だと感じ…

『イノセント・デイズ(新潮文庫)』:早見和真

「死にたい」と、たしかにそう聞こえた。帰宅途中のホームのベンチで、私は携帯のLINE画面から視線をあげる。それがすぐ隣でもたれるように座っていた女性の声だと気付くと、私はそのぽっかりと開いた空洞のような瞳に釘付けになった。地下鉄の蛍光灯の…

『クロコダイル路地(講談社文庫)』:皆川博子

はじめまして、田生 流(たお ながれ)です。 お目通しいただきありがとうございます。 『地底人とりゅう』では私の読書本紹介をメインに投稿していきます。 本日は私が夏の冷房よりも渇望してやまない皆川博子先生の、『クロコダイル路地』をご紹介します。…