寓話
孤独と絶望で生まれたおどろおどろしい生き物が、行間のそこここで呼吸しているのを感じる。 『アサイラム・ピース』は、 水面に落ちた一滴の墨と同様に、迷路のように曲がりくねって、たちまち始まりがわからなくなる。迷えば一点の光も失って、一面が闇に…
物語の底気味悪さは、童話のような読みやすさであればあるほど際立ってくる。 『悪童日記』はタイトルどおりの物語だが、その日記を綴っている悪童は、まだ幼い双子の少年たちだ。 二人が言う「ぼくたち」は一人称として使われていて、何をするにも一緒に行…
深さ7メートル、 すり鉢を逆さにしたような形の穴がある。 ある日兄弟は、到底出られそうもないその穴の底に落ちてしまう。 深い穴に落ちてしまった 作者:イバン・レピラ 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2017/01/21 メディア: 単行本 不思議な本と出…