中沢新一の新刊である「レンマ学」を読むことを潔く諦めた私に、親切で聡明な知人が中沢新一の著作物の中でも一番易しいと思われる哲学書として、「アースダイバー」という本を教えてくれた。 読んだからには感想を伝えなくてはいけない。 ところがいざどん…
本を開けばいつも主人公がいて、その主人公の行動や決断によって読者にカタルシスが生まれる。ところがこの一冊の本の内容を説明するには、主人公であるべき男の行動や決断が、あまりにも欠乏しすぎていた。にも関わらず、これまでにないほど印象的だと感じ…
「死にたい」と、たしかにそう聞こえた。帰宅途中のホームのベンチで、私は携帯のLINE画面から視線をあげる。それがすぐ隣でもたれるように座っていた女性の声だと気付くと、私はそのぽっかりと開いた空洞のような瞳に釘付けになった。地下鉄の蛍光灯の…
こんにちは、ながれです。 みなさんは、戦後最大の誘拐事件「吉展ちゃん事件」の全貌をどれほどご存知でしょうか。 正直なところ、平成生まれの私はこの事件のことをほとんど知りませんでした。 『誘拐』は、元読売新聞の社会部記者であった今は亡き本田靖春…
本のもつ可能性には限界も境界もない。 ずっとそう思っていたけれど、今回ほどその想いにぞっこんしたことはなかった。 アウシュヴィッツの図書係 作者: アントニオ・G・イトゥルベ,小原京子 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2016/07/05 メディア: 単行本 …
はじめまして、ながれです。 お目通しいただきありがとうございます。 『地底人とりゅう』では私の読書本紹介をメインに投稿していきます。 本日は私が夏の冷房よりも渇望してやまない皆川博子先生の、『クロコダイル路地』をご紹介します。 クロコダイル路…