地底人とりゅう

「地底人とりゅう」は、日々の読書本を記録していくために開設した個人ブログです。書店では入手困難な古書の紹介もぽつぽつと投稿しております。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『辺境図書館』『彗星図書館』(講談社):皆川博子

「本が好き。だけど、自分がどんな物語を、取りわけ愛おしく思えるのか分からない」 そんな人は案外多いのではないでしょうか。 私自身、2年前まで自分は特にミステリーが好きなのだと思い込んでいました。 名の知れたミステリー小説ばかりを読み漁り、好き…

『袋小路の男(講談社文庫)』 :絲山秋子

めちゃくちゃ面白い本を読んだあとに、これまたとんでもなく面白い本にすぐ手を伸ばすのは贅沢だ。 軽井沢で買ったりんごジャムをトーストの上に塗りたくり、その上からスライスしたほくほくの焼きりんごを重ねて食べるようなものである。 毎日の贅沢に疲れ…

『熱源(文藝春秋)』:川越宗一

本にもミステリ、ホラー、SF、ファンタジーと色々な類型がある中で、私が最も好きなのが、「熱」を持つ小説である。 その熱を必ずといって良いほど感じられるのが、歴史小説だ。 熱源 作者: 川越宗一 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2019/08/28 メディア…

『雲をつかむ話(講談社)』:多和田葉子

登場する人物の仕草や表情、風景描写があまりにも細かく鮮明で、私は読み始めてからすぐ、もしかしたらこれは事実なのかもしれない、と感じた。 あくまでフィクションとして出版されているこの本の、どこまでが現実で、どこからが幻想なのかわからない。 ま…